column 旅のおもいで
| 第一回買付け旅行記 12.2(Thu) 北欧雑貨店をはじめるにあたって、準備を行うこと数ヶ月。買付けのための北欧旅行へ出発する日を迎えました。 今回選んだ国はデンマーク・フィンランド・ノルウェー・・・さぁ、憧れの地への旅立ちです!旅費を抑えるために、選んだ航空会社はキャセイパシフィック航空。北欧までは、名古屋→香港→ロンドン・・・そして英国航空に乗り換えて翌朝コペンハーゲンに到着というルートです。 ロンドンヒースロー空港までスムーズに旅がすすみ、いよいよデンマークの首都・コペンハーゲンは目前です。しかし出発ロビーにある搭乗案内のモニターを見上げると、そこには ”FLIGHTCANCELLED”の文字が光っていました。 なんど見返してみても、搭乗予定の便がフライト中止になったことは間違いなさそうです。理由は濃霧。なるほどイギリスらしい・・・。 後発の便になんとか振り分けてもらえたものの、さらに8時間後の出発です。空港内でひとり、ひたすら時が過ぎるのを待つのみでした。 ヘトヘトになってやっとコペンハーゲンに着いたときには、なんと自宅を出てから34時間(!)が過ぎていたのでした・・・。 ![]() コペンハーゲン・カストラップ空港・温かみのある、いごこちのよい空港でした。北欧トラベラーにとってのハブ空港。 |
12.4(Sat) やっとたどり着いたコペンハーゲンでしたが、まだ続きがありまして・・・ 空港の荷物受け取りで今度はスーツケースがでてこないのです。 調べてもらうとフライトキャンセルの影響で、まだ最終乗り継ぎ地のロンドンにあるとのことでした。 「荷物が行方不明になってないだけましよ!」と自分をはげまし空港を後にして(スーツケースは2日後無事に届けられました。)コペンハーゲンの中央駅まで電車に乗り、そこからタクシーで宿に向かいました。 ここでの宿泊先は間借り・ルームレントのため、デンマークのふつうの暮らしを垣間見られることも楽しみの一つでした。お宅はマンションの5階にあり、親切なお母さんと16歳になる元気な娘さんとの2人暮らし、居心地のよい空間でした。エレベーターが無いため、スーツケースや発送用のダンボールを持って階段を上り下りするのがなんとも辛かったですが、彼女たちの作り上げたインテリアや普段使いの日用品などは興味深くすべてがとても印象的でした。 ![]() バスルームの窓辺あたり。こちらのお宅でいちばん好きだった空間です。 |
冬期は屋外でのマーケットは開かれていないため、 今回の買付けでは屋内のマーケット・街のアンティークディーラーやアンティークショップを中心に回りました。 ココロときめくモノとの出会いを見逃さないように、隅々まで目をこらしていつになく真剣に歩き回ります。売主とあれこれ話しながら商品にまつわるエピソードなんかも一緒に仕入れて、私のもとにモノたちが集まります。 普段は使わない筋肉もフル稼働で重い商品を抱え、寒空の下コペンハーゲンの街を駆け回りました。 ![]() イルマちゃんが駅のトンネルにも! デンマークの看板娘です。 |
12.4(Sat) 今回の旅での楽しみは、空いた時間で美術館・博物館を巡ることでした。 デンマークでは工芸博物館とルイジアナ現代美術館に行くことができました。 工芸博物館はコペンハーゲンの中心地から少しだけ北東にある回廊式の古く美しい建物です。コレクションは20世紀のデンマークデザインが中心で、貴重な椅子やライト・格好のいい電化製品などを目にすることができました。 印象に残ったのは、「PH」というペンダントライトで有名なデザイナー・ポール ヘニングセンの作品を集めた小部屋です。 ライト類の美しさもさることながら、目を見張ったのは彼のピアノでした。 恐らく透明アクリルでできていたと思うのですが、ピアノもこんな自由にデザインできるんだということに驚き、また一目でヘニングセンとわかる個性の強さにしびれました。さらに一緒に展示してあったピアノスツールが、ヤコブセン作というのも見逃せませんでした。 こちらの併設のカフェは評判通り雰囲気のあるすてきな場所でした。静かでゆっくりと時間の流れる感じがとても落ち着き、甘くておいしいケーキを食べリラックスした時を過ごしました。 12.5(Sun) ルイジアナ現代美術館は市内から電車で20分ほどのフムレベックという街にあります。駅からはすてきな住宅を拝見しつつ15分ほど歩いて到着です。 海に面した美術館なので、美しい景色を楽しみながら現代美術コレクションに触れることができます。実際に訪れてみて、ロケーションに第一にこだわったというこの美術館のコンセプトに納得しとても共感できました。 ちょうど「花」をテーマにした企画展が催されていて、モネ、オキーフ、ウォーホル、イブ・クラインなど花の絵画が一同に会し、それはそれは華やかで旅の疲れも消えるような明るい気持ちにしてくれました。 ちょっと遠かったけれど足を延ばして良かったと心から思いました。 ![]() ルイジアナ美術館の休憩コーナー。すっかり暗くなってしまいましたが真ん中に見えるのは飛び込み台、その向こうは窓をはさんで海です。 |
| 第一回買付け旅行記 12.7(Tue) デンマークでの最後の荷物を発送し終えて、次の目的地フィンランドへと向かいます。 フィンエアーで一路、快適な空の旅です。いいモノとたくさん出会えますようにと祈りつつテロップを降りエアポートバスで中央駅へ行き、そのままホテルまでタクシーで移動しました。 チェックインを済ませ街に出ると17時を過ぎていて、もう辺りは真っ暗。冬の北欧は15時ごろから日が沈み始め、夕方4時には完全に夜の暗さになるのです。とりあえず、フィンランドデザインの巨匠、アールトの設計したアカデミア書店に入り雰囲気を楽しんでから、隣のSTOCKMANというデパートに行きました。地下の食品売り場でトナカイの缶詰など横目に見つつ、ビールやキャベツの酢漬けなどを買込み夜ご飯にすることにしてホテルに帰りました。街に出てすぐに思ったのは、フィンランドのほうがデンマークより確実に寒いのにどうして人々が薄着なのか?ということでした。不思議です。 ![]() ホテルの共同キッチン・入室するのには自室のカードキーが要ります。他の利用者はロシアの船乗りさんや若いヨーロッパ人のバックパッカーが中心のようでした。最初は緊張するけど、何かと気のいい旅行者たちでした。私はここで名古屋名物味噌煮込みうどんを作ってみたり、ゆで卵のサラダを作ってみたり・・・。 地下鉄のホームを上から撮ったところ。 なんともスタイリッシュ。 |
12.8(Wed) 翌朝から商品の買付けが始まります。予め立てたルートに従って、たくさんの場所を回ります。初めての買い付けということもあり現地の人とじっくり仲良くなりたいので一箇所一箇所で比較的長い時間を過ごしました。 前回旅行で訪れたときから数年が経過していましたが、アラビアの食器やイッタラのグラス、温かい人々・・・と私にとってフィンランドはずっと心惹かれる国です。日本でも人気が高まっていますが、世界的にも北欧ビンテージ商品は人気と価値が高まっていて目当ての商品を探すのに苦労しました。そんな中でも心震える品々との出会いはたくさんあり、毎回運命的なものを感じてしまいます。そしてそれらをこうして皆さんにパーチとしてHPやお店でご紹介できることがとても幸せだと思っています。 ![]() ヘルシンキ港の日の出。シャッターチャンスも時の運なりです。とてもまぶしくて目が開けていられなかったほど。夜明けも遅いのでこれでも朝の9時ごろです。 |
12.9(Thu) ヘルシンキでは面白い体験をしました。偶然見つけた古道具屋さんが気になったので中に入ってみると、通路は通れないほどゴチャゴチャで、並べてあるものも脈絡ゼロ。まったく売る気があるのかないのか聞きたいようなお店でした。体の大きな店のおじいさんに、「お店の奥まで入って見せてもらってもいいですか?」と聞くと悲しそうな顔で「ノー」と言います。そうか、残念。とあきらめかけた時、今度は「ノーノーノー」と手招きして出入り口のように通路をふさいでいた釣竿を上げてくれました。「入っていいの?」と聞くとまた悲しそうです。どうも彼は英語が得意ではないようです。 「こっちおいでなされ」というような感じだったのでついていくと、2畳ほどの小さな空間がありボロボロのデスクと椅子、そこに酔いつぶれたスーツ姿の中年男性ともう一人普通そうな中年男性が座っていました。みんな手にはビール缶を持っています。おじいさんも含めて、ここで隠れて昼から酒盛りをしていたようです。内心「これは・・リアルなアキ・カウリスマキの世界だ!」と大好きなフィンランド人映画監督のことを思ってちょっと嬉しくなり、でもやっぱり怖いのでヒヤヒヤしていると、おじいさんが椅子をすすめてくれ、嬉しそうに古いお人形や髪飾りなどを持ってきました。そしてジェスチャーで「好きなのを選びなされ」と、お道具箱のふたに拡げてくれました。 なんとなく彼らの期待を裏切ってはいけない気がしたので、真剣にその中から欲しいものを選び、さあお金を払って帰らせてもらおうかと思うとまたおじいさんがセレクトした秘蔵の品をどこからか持ってきてくれます。中年男性の方は英語でとつとつと自分のことを話します。しばらくは帰す気がゼロのようだったので、彼らと少し時間を過ごすことにしました。 おじいさんは英語を友達に教えてもらって少し照れながら一生懸命話してくれましたが、ときどきお客さんがくるとあわててビールを隠してお店で接客(?)に精を出していました。 普通そうなおじさんは日本やヒロシマのこと、私のことなど色々質問しては2人に通訳していました。 酔いつぶれたスーツのおじさんはスティーブ・ブシェミをかなり大きくした感じの外見で、椅子にぐったりもたれてぼんやりしていましたが、帰り際にスっと立ち上がり胸ポケットからトランプを取り出して手品を見せてくれました。はじめに選んだカードがいちばん上にくるあの手品です。とにかく泥酔していたので至近距離で前後にユラユラゆれながらの手品でしたが、ますますディープなカウリスマキ的世界が広がり私はもう感動の域に到達しました。ただ、普通のおじさんが「酔っ払いの手品ほどつまんねーもんねーよなー。」と言っちゃっていたのもとても印象的でした。 彼らとの別れを惜しんでやっとお店を出たら、またヘルシンキのいつもの感じは変わりなく、なんだか夢の世界の出来事のようでした。今日も彼らはあそこでこっそり酒盛りをしているのかな。みんな元気だといいなと思います。 |
| 第一回買付け旅行記 12.11(Sat) ぎりぎりまで買付けに走りまわったフィンランドを後にし、次は最終目的地のノルウェーに移動をします。フィンエアーのエアバスに乗り込み一路オスロへ。 空港から街の中心地オスロ中央駅まではエアポートエクスプレスが走っていて、それを使うのが便利です。ガイドブックには中央駅が終点と書いてあったので安心して電車に揺られていました。 ところがいつまでたっても電車が終点に着かないのです。車窓から見える景色はどんどん暗くさびしくなります。間違いなく中央駅を乗り過ごしたようでした。気づくと乗客も車掌さんも誰もいないではありませんか。何度か停車はしますがどこも無人駅のような暗さと人気のなさだったのでこわくて降りられません。車内アナウンスもノルウェー語だけなので訳がわからず・・・。呆然としている日本人ひとりを乗せて電車は超スピードで走ります。「誰か止めてぇー・・・」と泣きそうになるころ電車が止まりました。 プラットホームでやっと現れた車掌さんに事情を話すと、「乗り過ごしたままここまできたって?!」とびっくりされました。小さすぎて座っていることに気づいてもらえなかったみたいです。幸い電車は折り返し来たルートを戻るということで、もう一度乗り込んで無事に中央駅に着くことができました。車掌さんも申し訳ないと言って、オスロ中央駅では席に迎えに来てスーツケースを運んでエスコートしてくれました、明らかにおかしがっているのがわかりましたが・・・。ローカル電車の2倍以上の運賃を払って、20分で着く予定が2時間の列車の旅になりました。楽しかったけれどトホホ。 ![]() これが問題のエアポートエクスプレス車内です。不安になる前に撮影。青いモニターもノルウェイ語表示のみ・・・みなさんもし乗る際はお気をつけください。中央駅とまりともっと先までいくのと2種類走っているそうです。 |
12.11(Sat) オスローに到着したのはノーベル平和賞授賞式の翌日で、宿のテレビではお祝いコンサートが流れていました。世界各国に衛星中継されているらしく、豪華な内容でした。司会はトム・クルーズとオプラ(アメリカのカリスマ主婦?)で、演奏するのはポップアイドルからベテラン、ノルウェーの歌手まで、多彩な顔ぶれでした。今回のマータイ教授はアフリカ女性で初の受賞ということで、お祝いムードが高かったようです。せっかくなのでテレビを見て彼女について私も勉強。その功績が素晴らしいのはもちろん、美しい民族衣装を着て堂々と立ち居振る舞う姿に、女性としてもすてきな方なんだろうなと勝手に考えてしまいました。 |
12.12(Sun) オスローは思ったより大きく現代的な街で、訪れた3ヶ国のなかでいちばん国際的でした。アンティークマーケットなどを回りおもしろい収穫もありました。それはまた追ってご紹介していく予定です。 さてノルウェーといえばムンク。ということで国立美術館とムンク美術館に行きました。まずは国立美術館ですが改装中のため休館しています。残念だなぁと係のお姉さんに話を聞いてみると、海外旅行者だけにはムンクの部屋を公開してくれるそうです。やった!ぜひにとお願いをして、インカムマイクをつけたお姉さんに連れられ物々しい空気のなかムンクの部屋を見学しました。病んだ気持ちが伝染しかけるような気がしましたが、冬のノルウェーの暗さ寒さを体感しただけに少し彼の世界も入りやすかったのかも知れません。 ムンク美術館はとても楽しみにしていたのですが、こちらは完全に休館中。カフェだけ営業中だったけれどしかたないのであきらめて帰りました。 ![]() ムンク美術館の入り口。英語ではムンチ。ちなみにこの日、今までの人生でいちばん低い気温を体験! |
北欧のビンテージ・アンティーク雑貨perch パーチ